どうもみなさん、おはこんばんにちは。
twitterでもつぶやきましたが、ANAが2021年度新卒採用の一時中断を決定しました。
業績が非常に厳しいというのはわかりきっていた話なので、予想できた事態ではありましたが、
いざ採用中断となるとやはり厳しいものがありますね。
ANA採用一時中断の詳細
ANAグループ37社では既にES受付や書類選考を進めていましたが、これらは全て一時中断。
再開時期については、今後の感染状況などを見極めた上で検討されますが、再開しても採用人数を減らす可能性があるとのこと。
一方、専門学校の方などは別枠として予定通り入社する模様で、パイロットは採用続行です。
育成に時間を要する、という判断のようです。
今後について
今回のANAの一時中断の発表は、
正直、採用中止に限りなく近い一時中断であると私は捉えています。
なぜなら、今回のコロナによる状況はこれまでの数々の危機とは大きく異なる点があるからです。
リーマンショックとの違い
JALが破綻した原因の一つとして挙げられる2008年のリーマンショック。
このリーマンショックを契機として、以降、世界的に不景気な世の中になってしまいましたが、
今回のコロナとは決定的に異なる点があります。
それは、
ウイルスという目に見えない存在。
リーマンショックの際は確かに不景気になったし、日経平均株価も9,000円程と、現在の半分以下の水準まで値下がりしました。
数年に亘る就職氷河期も迎え、正に最悪とも言える時期で多くの会社員がリストラで職を失っています。
そんなリーマンショックの影響を被った2008年から2011年、エアラインを取り巻く環境はどうだったでしょうか。
その頃私は金融業界で働いていたので、状況は割と覚えていますが、
大きく問題視されていたのは、トヨタやソニーなど、国益を支える輸出産業の景気悪化に関する内容ばかり。
特に問題になっていたのは、為替。
リーマンショックによって大幅な円高となり、2011年にはドル/円が75円を付けましたが、
トヨタの場合、1円円高に動くだけで、約400億円もの損失を被ります。
2007年のドル/円は124円なので、そこから50円ほど円高。
単純計算で、2兆円の損失(厳密には対想定為替レートなのでそこまでではありまえせんが)
為替がいくら円高になった、いくら円安になった、どこの会社で何人リストラされた、
どこどこの中央銀行が量的緩和を実施した、大体そんな内容ばかりでした。
コロナウィルスは私たち国民の生活にダイレクトに影響するものですが、
このリーマンショックについては、”投資”という分野における出来事なので、
一般的な国民にとって、その状況を中々理解することが出来なかった、自分事としての認識を持てなかったことが大きいと思います。
所詮お金の話だし、多少お金がなくなったところで命が取られるわけではありません。
でも今回のコロナは、命の危険と常に隣り合わせ。
こういうところがリーマンショックとの違い。
サブプライムローン、とか、ホームエクイティローン、とか、ローン債権を証券化しデリバティブとして、とか、
そんなこと普通に生活してたら興味あるわけでないですよね(笑)
ちなみに、SARSやMERSの際もさほどエアラインの経営について問題になりませんでした。
皆さんも既にご存知と思いますが、SARSやMERSは重症化するため、自分が陽性だと認識しない状態で外出することは出来ず、
機内や外出先で感染者と接触することは基本的にはない、そう考えられていたからです。
目に見えないウィルスに対する恐怖
今と違うのは、現在の様な自粛・買い控えが起きていないこと。
勿論緊急事態宣言なんてありませんし、半強制的に家に留まらなければならないなんて状況も起きていませんでした。
会社員は普通に海外・国内出張するし、旅行する人もいるし、2010年ワールドカップも予定通り開催されました。
例年より消費が抑えられ不景気になっていたのは事実ですが、
誰しも経済活動を積極的に控えようなんて動きはありませんでした。
それが今はどうでしょう。
どこへ行くにも消毒、駅のトイレへ行くにも、何かを食べるときにも消毒。
常にウイルス感染のリスクに脅かされた状態にあります。
そこで最も大きな問題なのは、人々のウィルス感染に対する恐怖は、すぐには消えないということ。
これから夏になり、コロナウィルス感染拡大が抑えられたとしても、
みんなが抱くコロナ感染への恐怖は、そう簡単に収束することはありません。
メディアによっては、夏までなんて話をしていますが、夏が過ぎればまた冬が来ます。
冬になれば風邪やインフルエンザがまた流行し、再度コロナが意識され始めることは容易に想像出来ませんでしょうか。
そうなると、世の中が元の状態に戻るまでまだ時間はかかるし、
勿論エアラインにとっても元の利益水準に戻るまでまだまだ時間がかかります。
今後今の様な緊急事態宣言が発令されないとしても、ウィルス感染のリスクが脳裏に焼き付いた人々は、
いくら空気の入替が頻繁に行われているとはいえ、何百人もの人間が何時間も密閉された同じ飛行機内に留まることを、積極的に望む人はいないでしょう。
そうなると運休・減便状態は解消されず、エアラインの厳しい経営状況は長引くことになります。
エアラインを取り巻く環境は、これまでにない厳しい状況を迎えていて、
実際アメリカの航空会社では、アメリカン、デルタ、ユナイテッド、サウスウエストの内、いずれかが経営破綻するとも言われています。
いずれもANA/JALよりも何倍も規模の大きなエアラインにも関わらずですよ?
以上が、今回のANAの採用一時中止は、限りなく中止に近い中断と私が捉えている理由です。
勿論再開して欲しい気持ちで一杯ですが、こんな状況なので過度な期待をせず、次の選択肢も視野に入れるべきかもしれません。
2021年度にCA採用を受験しようと応募されていた方には、なんて声を掛ければ良いか、本当に言葉が見つかりません。
社内の雰囲気
社内の様子ですが、まず現場の雰囲気はこれまでと基本変わりありません。
便が元に戻ったときに備え、今出来ることを粛々と進めよう。そんな感じで前向き。
ただ、段々と経営層の様子が少しずつ変化していきています。
これまでは”雇用は守る”と明確にリストラを否定していましたが、
“状況によっては…”と状況が悪化してきており、一つ一つの言葉にネガティブな雰囲気が滲み出ています。
人員整理は最終手段です。
通常は新規採用を中断し、そこから人員整理(リストラ)を検討していく流れですが、
既にその人員整理が視野に入っているということは、やはり新卒採用は難しいのでしょうね。
今がどれだけ厳しくても、復帰の見通しが見えていればそこまで悲観する必要はありませんが、
これまでお話した通り、ウィルスという人の目に見えない恐怖は、そう簡単に人の脳裏から剥がれることはありません。
今後の厳しさを考えると、採用だけではなく、人員整理も行われる日が近いかもしれませんね。
JALも楽観視出来ず
あくまで財務状況だけで見ると、確かにANAの方が厳しいと一般的には言えるので、最近メディアでANAの特集が増えていますよね。
でも厳しいのは何もANAだけではありません。状況はJALも同じ。
こういう時って、キャッシュ(現金)をどれだけ持っているかが大事だったりするのですが、
たまたまJALはANAよりも内部留保を多く持っているだけで、両社厳しい状況であることに変わりありません。
半年持つか、1年持つか。
その違いだけ。
だから、今はまだANAだけでJALから何もアナウンスはありませんが、
今後JALも中断の可能性は十分にあり得ますし、ANAがそういう決断をした以上、JALはむしろ動きやすくなっています。
ANAが採用を中断すれば、JALが中断しても批判されることはありませんから。
再開を望み面接対策を行いつつも、
他の選択肢を見据え、今出来ることに取り組んでいきましょう。
今回言いたかったことは、次のアクションに移らなければならないということ。
そんなこと言われても難しいかもしれませんが、今この重要な時期を棒に振らないためにも、
エアライン以外の選択肢も視野に入れてアクションすべきです。
状況に進捗があったらまた共有しますね。