どうもみなさん、おはこんばんにちは。
唐突ですがタイトルの通り、JALのCA訓練延期が確定したようです。
実は少し前に確定していたようですが、ワケあってこのタイミングとなりました。
決定されて少し時間が経過しているにもかかわらず、どうやらまだどこにも報道されていない情報なので、速報として皆さんにお伝えしておきます。
以前の記事では、ANAとの差別化からJALは延期しないはず、とお話しましたが、見事に裏切られてしまいました(すみません…)
実際、Aviation wireでも取り上げられている通り、基本的には訓練維持の方向性でいましたが、
東京都からの自粛要請、国の緊急事態宣言など世の中の流れが悪化したこと、3密などの条件、及び、それに伴う社内での周知が大きく影響したようです。
このコロナの状況、やはり変化が激しいですね。
JALの全訓練が延期へ
訓練延期は新人訓練だけでなく、全訓練が対象となります。
国際線移行訓練や外国人を対象とした訓練も対象となり、全ての訓練がストップします。
JAL/ANAの対応の違い
大きな違いは、訓練の予定再開時期。
ANAは4月から約1か月延期としていますが、JALの延期期間は未定で、いつ再開されるかわからない状態です。
恐らく、緊急事態宣言が予定通り5/6に終われば、その直後頃からでしょう。
また、訓練中止(延期)に至るまでの過程がJAL/ANAで大きく異なり、
ANAは緊急事態宣言前に訓練延期を決定し、JALは緊急事態宣言後に決まりました。
当初中々緊急事態宣言が発令されず、1か月延期とはしたものの、何を以て訓練再開とするかANA社内では議論になっていたようですが、
緊急事態宣言が発令された今は、5/6の宣言解除を以て、予定通り5月から訓練再開されるはずです。
ANAは再延期の可能性も
5/6に緊急事態宣言が解除される予定とありますが、当然ながら状況は流動的。
緊急事態宣言が延期されれば、訓練もそれに伴い延期される可能性が非常に高い。
エアラインも路便・人事計画があるので、安易な訓練延期を避けたいのは事実ですが、
世の中に逆行して訓練を実施することは、万が一コロナ感染者が発生してしまった際のリスクとなり、
大きな批判を浴びかねませんので、慎重な判断が求められる局面です。
そして今、4/7に緊急事態宣言を発令してから丁度2週間が経過します。
新型コロナの潜伏期間は2週間と言われているので、
今後の感染者数の推移によって、緊急事態宣言の延期有無の大きな判断材料になりそうですが、
気掛かりなのは、これからGWという大型連休を控えているということ。
GW期間中の羽田-鹿児島線が満席になるなど、今この #stay home の状況下で理解し難い事態が起きていて、
コロナ疲れというのもあるでしょうけど、一筋縄ではいかない様子。
運休・減便の解消見込みが立たない限り、訓練が再開されることはありません。
そして、運休・減便の解消には、コロナが沈静化傾向にあることが大前提です。
大型連休を経ることによって感染者数がまた増加し、緊急事態宣言が延期されないことを祈るばかりです。
会社は社員を守ってくれるか
聞いた話ではありますが、JAL/ANA共に、緊急事態宣言が発令されるまで訓練を続けてきたことに対し、
訓練を続けることが理解できない。
今の状況について会社はどう考えているのか。
社員の安全をどう考えているのか。
子供が感染したら困る。感染したらどうしてくれるのか。
社内でこの様な声が数多く出ていたようで、辛辣な批判を口にする人も多かったとか。
そりゃそうですよね。何十人もの人間が同じフロアに集まって訓練しているんですから。
ましてやCAなんて海外を飛び回るわけだし、発症していないだけの保菌者は多くいるはず。
いくらマスクをしているからといって、完全に防護できるわけではないですからね。
小さな子供のいる人、高齢者を介護している人にとっては、恐ろしくて仕方なかったでしょう。
その様な声を反映し、会社は社員を守る判断をしたということです。
エアラインが抱えるジレンマ
会社は利益あって成り立つもの。
社員の安全を守るあまり、訓練を再開しないことで運航に支障が生じ、会社が破綻するか。
或いは、感染のリスクはあっても会社存続のため訓練を再開し、運航を維持して会社を守るか。
一人のCAを育成するのに、約3か月要します。
ということは、コロナが完全に解消されるよりも前から訓練を再開する必要があり、
必然的に感染のリスクを抱えながら訓練を実施しなければなりません。
このジレンマは難しく、何がベストか言い切ることは出来ません。
どういう判断をするにせよ、せめてどの様な根拠・判断軸で決断したか、事前にちゃんと発表して欲しいものですね。
元大阪府知事の橋下さんがテレビで言っていました。
「今この状況、政府は国民の安全を優先して経済を止めるか。
或いは、一程度の国民の犠牲を伴ってでも、経済を優先させるか。
安倍首相はそろそろ判断しないといけない」
エアラインと全く同じじゃないですか。
あくまで参考として…
皆さんを不安にさせる意図はありませんが、
ANAが5年以内に破綻する確率は約10%程度
と言われています。
まもなくJAL/ANAの2019年度通期決算が発表されますが、
これまでの数値を基にした、アナリストらによる予想値が既に発表されています。
通期 :ANAは約270億の黒字、JALは約530億の黒字
赤字の額はANAがJALの2倍弱、利益はJALがANAの約2倍。
同じエアラインなのに、大きな差がありますね。
これら損益もですが、もっと大事なことは、いま会社がどれだけのキャッシュを持っていて、
どれだけ持ちこたえられるかということ。
これもまたざっくりとした数字ですが、
ANAは約7か月、JALは約1年弱
全便運航をストップさせ、社員の給料を払い続けたとき、
どれだけ会社が持ちこたえられるかという数字です。
JAL/ANA共に危険な状態にあるのは間違いありませんが、様々な数字だけを比較すると、ANAのほうがより危険な状態にあると言えます。
世界の投資家の評価
企業の信用力を予想して売買するクレジット・デフォルト・スワップ(別名CDS)というものがあるのですが、
そのANAの数値が2月後半から急遽、一時1.6%を付けました。
簡単に言うと、その会社が破綻するかしないか、会社の信用力を図る指標で、高いほど高リスク、低いほど低リスクとなります。
リスク回避的な動きや投機的な動きもあるので一概には言えませんが、
1.6%という保証料率は計算上「5年以内に破綻する可能性が10%程度織り込まれている」と予想することが出来ます。
2月後半というのは、感染が中国から欧州へ広がり「世界的な拡大は時間の問題」と認識され始めたタイミング。
世界の投資家や有識者の間では、コロナによる影響で、ANAは5年以内に10%の確率で破綻する、そう予想していることを意味します。
エアラインは簡単に破綻させられない
10年程前にJALが破綻しているのであまり説得力のないセリフですが、
10年前と今では状況が大きく変化しています。
まずは来年に延期されたオリンピック。
JAL/ANA共にオフィシャルエアラインパートナーです。
そんな会社を破たんさせたら日本の恥。ただそれだけ(笑)
次にインバウンド。
JRなどの公共交通機関とは違い、エアラインはヒト・モノ・カネをグローバルな規模で運ぶ国を大きく支える企業です。
いま日本は訪日外国人観光客増加に向け積極的に各種施策を行っており、ある種インバウンドに依存した状態。
外国人が訪日といっても、外航では意味がなく、日本の航空会社であることに意味があります。
理由は様々ですが、例えば中国武漢から日本人を退避させるとき、自国でエアラインがないと出来ないですよね。
そしてこのインバウンドは、とてもじゃないですけど1社では支えきれません。
競争原理も働かないし、自国に2社FSCのエアラインを保有することはそれなりの理由があるので、インバウンドで稼ぐ日本は、そう簡単に破綻させられないのです。
あくまで投資の世界の話
この数字は、たかだか金儲けの投資の世界の話でそんな人達の中だけでの話ですから、深刻に考える必要はありません。
こういう人達は自分達の都合の良い数字を拾って、都合良く見せられるように数字を加工しているだけで、あまり真に受けない方が賢明です。
投資家は、そうやって人々の不安を煽り、相場を動かそうとしているだけですから。
にもかかわらず、じゃあなんでこんな話をしたか。
①エアラインを取り巻く環境は想像以上に厳しいことをわかってもらいたいから。
エアラインはこの様なイベントリスクが付き物ですし、恐らく次の面接でもこの様な観点の質問は飛んでくるでしょう。
エアラインがどれだけ深刻な状況かを理解し、会社側との温度差をなくしておくことは大事。
②自分の会社の数字を理解することはとても大事だからです。
JALにはこんなフィロソフィーがあります。
一人一人がJAL
会社経営は経営者に任せきりにするのではなく、社員全員で会社経営に携わる。
その為には、一人一人が経営しているという当事者意識を持ち、無駄遣いをしない採算性を持ちながら、日々会社の数字に関心を持つこと。
JALが大切にしている考え方の一つです。
会社が破綻する確率、そんなことは参考の一つに過ぎません。
エアラインを取り巻く環境は今とても厳しく、今後こういうリスクが付き物だけど、それでもエアラインを志望しますか?
こういう類の質問に、断固たる決意を持って即答出来る様に準備しておきましょうね。
2021年度採用、コロナに関する内容はきっと問われますよ。ていうか、私なら間違いなく聞く。